ReLEx SMILE(リレックス スマイル)について、その仕組みとメリット・デメリットについて解説します。ReLEx SMILE(リレックス スマイル)を検討されている方の一助になれば幸いです。

フラップを作らないレーシック「ReLEx SMILE(リレックス スマイル)」

ReLEx SMILE(リレックス スマイル)は、Refractive Lenticle Extraction Small incision lenticule extractionの略で直訳すると薄い切片(Lenticle:レンチクル)を小さな切り口(Small incision)から摘出(Extraction)して角膜の屈折率(Refractive)を変える術式となります。

近視では遠くを見ようとすると、角膜の表面から網膜までの距離(眼軸長)が長いため、網膜の手前で焦点が結ばれ、遠くが見えにくくなります。

水晶体は厚くすることはできても、薄くすることはできないので、遠くを見るためにはメガネやコンタクトレンズ、視力回復手術などの手段に頼る必要があります。
リレックス スマイルは目の角膜の一部をレーザー治療により取り除くことで、遠くを見た場合でも網膜に焦点が合うようにする術式です。

同じ原理のレーザー治療として、レーシック(laser-assisted in situ keratomileusis、LASIK)があります。
レーシックとリレックス スマイルは、角膜の表面にできる切り口の大きさが違います。
レーシックでは、角膜表面の一部を切り開き、ふたのようにめくり上げて中の角膜にレーザーを当てます。一方、スマイルではあらかじめレーザーで角膜中に断片を作っておき、小さい切り口から断片を取り除きます。このためリレックス スマイルのほうが表面の切り口は小さくなります。 レーシックのようにフラップを作る必要がないため、術後フラップのずれなどによる炎症の心配がありません。
フラップを作らないレーシックとして紹介されることもあり、リレックス スマイルで使うフェムトセカンドレーザー『VisuMaxビジュマックス』を2016年9月に米FDAが承認しています。

なお、リレックス・スマイルには独カールツァイスメディック社のフェムトセカンドレーザー『VisuMaxビジュマックス』しか対応していないため、手術ができるクリニックには限りがあります。

■具体的な手術の流れ

①目を洗浄後に麻酔の点眼薬を差し、目を固定します。 その後、フェムトセカンドレーザー『VisuMaxビジュマックス』にて角膜表面から一定の深さに気泡を発生させ、この気泡により角膜内部に隙間を作り角膜の内側にレンズ状の切片をつくります。

②その後、角膜表面を切開し、切片を取り除きます。

③切片を抜くことで角膜の形状が変化し、視力が矯正されます。


レーシックの場合はフェムトセカンドレーザー等でフラップを作り、その後人が歩いて場所を移動し、エキシマレーザーのある場所に行き、エキシマレーザーを角膜に照射して削る2つの工程が必要ですが、スマイルはフェムトセカンドレーザー1台で手術できるため、手術時間を短縮することができます。また、手術中に場所を移動しないため、不要なトラブルが起こる可能性を軽減するとともに、角膜の傷も小さく、有望な矯正法の一つといえます。

レーシックに続く新治療、近視を治す「スマイル手術」を米政府機関(FDA)が承認

 アメリカの政府機関である米国食品医薬品局(FDA)がレーザーで近視を治療する「スマイル」(SMILE)手術に使う機器を9月13日付で承認しました。22歳以上で、手術前1年間に急激な視力低下がないなどの条件に適合する人が対象となります。機器承認にあたっての臨床試験では、328人の対象者が参加し、スマイル手術を受けた人は手術後6か月で88%が裸眼視力1.0以上になったと報告されています。なお、手術後に起こる可能性がある問題として、ドライアイ、まぶしさなどが報告されています。
◆参照文献
FDA approves VisuMax Femtosecond Laser to surgically treat nearsightedness.
FDA News Release, 2016 Sept 13
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm520560.htm

レーシックと比較したReLEx SMILE(リレックス スマイル) のメリットとデメリットは次の通りです。

■メリット

●1台の機械で手術が完了するため、手術中の移動が無い

先ほどもご説明しましたが、レーシックの場合はフェムトセカンドレーザー等でフラップを作り、その後歩いてエキシマレーザーのある場所に行き、エキシマレーザーを角膜に照射して削ります。一方、スマイルはフェムトセカンドレーザー1台で手術できるため、手術時間を短縮できるとともに手術中に場所を移動しないため、不要なトラブルが起こる可能性を軽減できます。

●角膜の切開量が少ない、術中・術後の痛みが少ない

レーシックに比べ角膜の切開量が大幅に少ないため痛みが少なく、術後の視力回復が早くなります。

●ドライアイになりにくい

リレックススマイルはレーシックと比べてドライアイになりにくいことが分かっています。ライアイは角膜の知覚神経切断が原因ですが、レーシックではフラップを作成する際に知覚神経を大きく切断します。知覚神経が切断されると涙液の量が減少し、ドライアイになります。リレックススマイルでは角膜の切開量が少ないため、角膜の知覚神経が温存され、ドライアイになりにくいのです。

●矯正精度が高く、近視への戻りが少ない

具体的な試験結果等が確認できていませんが、レーシックと比較し、近視の戻る量が小さいといわれています。

●フラップを作らないため衝撃に強い

リレックススマイルはレーシックのように角膜にフラップを作成しないため、角膜強度が維持でき、運動選手や格闘技等の接触の多いスポーツを行う人に向いています


●ハロ・グレアになりにくい

レーザーを用いた屈折矯正手術を受けると、夜間に光が散乱してぎらついて見える「グレア」や光がぼんやりとにじんで見える「ハロ」といった症状が出ることがあります。これらの原因はレーダーによる切断面の歪みが起因していると考えられています。リフレックススマイルではフラップを作りませんので、ハロ・グレアになりにくいと考えられます。
(1)フラップ切断面における光の乱反射
 フラップ形成時の角膜切断面に光が乱反射することで発生
(2)切除面の境界による光の乱反射
 視力矯正のため角膜の中央部をレーザーで切除した際に削った部分と削らなかった部分の境界部分に光が当たり乱反射することで発生

■デメリット

●遠視、不正乱視には対応できません

乱視の矯正は可能ですが、遠視や不正乱視の矯正には対応していません

●視力が矯正され定着するまで少し時間がかかります

過去の実績を確認すると目標視力に矯正されるまでの時間は人により多少前後しますが、概ね1週間程度を要します。

◆参照文献 日本視能訓練士協会誌 Vol. 44 (2015) p. 43-50
Small incision lenticle extractionとlaser in situ keratomileusis術後1年の経過報告

●レーシックと比較して費用が高い

リレックススマイルはレーシックと比べるとかなり高額です。大手クリニックが実施している最高品質のレーシックを両眼で受ける際の費用が40万円前後ですが、リレックススマイルの費用は両眼で30万円強~40万円弱になります。
SBC新宿近視クリニック 品川近視クリニック
施術名 ReLEx SMILE
(リレックス スマイル)
ReLEx SMILE2.0
(リレックス スマイル2.0)
ReLEx smile
(リレックス スマイル)
ReLEx smile2.0
(リレックス スマイル2.0)
使用機器 カールツァイス社製フェムトセカンドレーザー「VisuMax」
価格(両眼・税込) 32.9万円 39.8万円 31.968万円 38.88万円
保障等 3年保証・検査費無料
備考 角膜の切開幅4mm。術後のドライアイ軽減。 角膜の切開幅2mm。術後のドライアイ更に軽減 角膜の切開幅4mm。術後のドライアイ軽減。 角膜の切開幅2mm。術後のドライアイ更に軽減
実施拠点 新宿院 東京院

●再手術になった場合のリスク

リレックススマイル手術を受けた後の追加矯正をリレックススマイルで行うことはできません。技術的に確立されていないからです。そのため、追加矯正が必要となった場合、レーシックもしくはフェイキック(眼内レンズ)で実施することになります。
角膜強度を保とうと思っても、LASEK(ラゼック)では再手術できませんので、注意が必要です。なぜなら、リレックススマイル手術により角膜の中に断片(レンチクル)を作った後の角膜上部の厚さは100~120μm程度です。LASEKの場合、上皮細胞(約50μm)を剥離した後にエキシマレーザーを照射するのですが、リレックススマイル後の100~120μmの残角膜から、50μmの上皮細胞を剥離すると50~70μmしか角膜厚がありません。そこにエキシマレーザーを照射すると、角膜が蒸散してしまいますので、LASEKによる矯正ができないのです。
つまり、角膜強度を保ちたいと思ってリレックススマイル手術を選んだ場合でも、再手術となってしまうと基本はレーシックによる再手術となり、角膜強度が保てなくなってしまいますので、注意が必要です。

「ReLEx SMILE(リレックス スマイル)」は積極的に実施するべきか?

この術式を積極的におススメするべきかどうかですが、格闘家などの角膜強度が問題となる方を除けば現時点では積極的に実施するべきではないと考えています。
理由は以下の2点です。
①リレックススマイルを実施する機器として対象機器が厚生労働省の認可を受けていない。
 厚生労働省の認可を受けていないため、不具合が発生した際に自己責任になってしまいます。そのため、極力避けるべきだと考えています。
②実績が少ない。
 新しい技術なので当然ながら実績が少ないです。近視の戻りがあった場合、矯正度数が適切でなかった場合の修正手順が明確に定まっていません。現時点ではメリットよりもリスクが大きいと感じます。
また、大手クリニックでも一部の拠点でしか実施していませんので、アフターケアや実績による安心感を考えると、イントラレーシックをお勧めします。

リレックススマイルに対するQA

メリット・デメリットで記載している以外の項目について手術に対して感じる疑問をまとめてみました。

Q. どのくらい前から行われている手術ですか?

A. 世界では2008年、日本では2011年から行われています。

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