強度近視向けの視力回復手術フェイキックIOL(前房型と後房型)について説明し、前房型と後房型について比較を行うことで、現在受けるべき術式について分かりやすく解説します。

フェイキックIOLとは

フェイキックIOLは、小さなソフトレンズを眼の中に入れることで近視や遠視、乱視を治療する屈折矯正手術のひとつです。一般的には、ICL(アイシーエル)と呼んだりします。 いつも眼の上に付けるコンタクトレンズを眼の中に入れてしまう手術と考えていただけると分かりやすいと思います。眼の中に入れるレンズは、生体適合性が優れており長期間にわたって透明な状態を維持できます。
レーシックでは、角膜の強度を保つために治療できる近視の度数に限界があります。 フェイキックIOLは、レーシックでは矯正の難しい強度近視や遠視、乱視の方向きの屈折矯正手術です。

フェイキックIOLの種類

フェイキックIOLには前房型と後房型の2種類があります。これはレンズを入れる位置の違いによるもので、角膜と虹彩の間にある前房にレンズを入れる術式を前房型フェイキックIOLと呼び、虹彩と水晶体の間にある後房にレンズを入れる術式を後房型フェイキックIOLと呼びます。 詳細は後述しますが、後房型フェイキックIOLが現在主流の術式で安全性も高いと考えられています。
前房型フェイキックIOLでは、Artisan(アルチザン)とArtiflex(アルチフレックス)の2種類のレンズが主流であり、後房型フェイキックIOLでは、Staar社(アメリカ)のレンズが主流となっています。

前房型フェイキックIOLについて

角膜と虹彩の間にある前房にレンズを入れ、虹彩に固定することで光の屈折を変えて、近視・乱視・遠視を矯正します。 前房型フェイキックIOLで利用されるのは、オランダOphtec社製の虹彩支持型レンズになります。 Artisan(アルチザン)とArtiflex(アルチフレックス)の2種類のレンズがあり、レンズの材質はポリメチルメタクリレート(PMMA)またはシリコーン製のため、半永久的にメンテナンスフリーで使用できます。利用するレンズについては、近視、遠視、乱視の有無、度数を含めて、診断の後、決定されます。 また、ヨーロッパでは1986年から前房型でのフェイキックIOLの手術が行われており、アメリカでは2004年9月に日本の厚生労働省にあたるFDAの認可を得ています。但し、日本の厚生労働省の承認は得られていません

Artiflexレンズ Artiflexレンズはシリコン製で柔らかく眼内への挿入時に折りたたむことができるため、傷口が小さく手術の最後に縫合をする必要がありません。術後の視力の回復が早く、現在の主流レンズになっています。2009年にはArtiflexTC(乱視用レンズ)が開発されました。これにより乱視がある方も利用できるようになりました。
Artisanレンズ ArtisanレンズはフェイキックIOL手術の初期段階から使用されている実績のあるレンズです。レンズの縦幅分約6mmほど切開をして眼内に挿入するため、切開面を数針縫う必要があります。縫った影響で一時的に角膜の形が変わり、乱視が出る事がありますが、その場合は手術の約2週間後に抜糸をすれば乱視はほとんどなくなります。遠視用や乱視用もあり、適応範囲が広いレンズです。

前房型フェイキックIOLのメリットとデメリット

前房型フェイキックIOLのメリットとデメリットは以下の通りです。最も注意しないといけないのは、手術後も角膜内皮細胞が通常の減少ペースより多く減ってしまうことがある点です。これは前房深度を十二分に確保できていない場合に起こると考えられていますが、無用なトラブルを避ける観点から重度近視の方がフェイキックIOLを選択肢とする場合は、後房型のフェイキックIOLを選択するべきだと考えています。
メリット ・強度近視や角膜が薄いためにレーシック適応外の方でも、手術をすることができます。
・角膜を切除せずに近視や乱視を治すための眼内レンズを挿入するので、光学的な損失がありませんし、調節力が温存されます。(=ハードコンタクトレンズと同じようなクリアで質の高い視界が得られます)
・万が一レンズが合わなかった場合や、将来屈折変化が生じた場合、レンズを交換することが可能です。
・レンズを取り外せば、手術前の状態に戻すことができます。
・メーカーにより技術認定を受けた医師だけが手術を認められているため、一定以上の手術品質が担保されます。
デメリット 角膜内皮細胞が通常の減少ペースより多く減ってしまうことがあり、状況によってはレンズを摘出し、後房型のフェイキックIOLに交換する必要があります。
・目に強い衝撃が加わるとレンズが虹彩から外れてしまうことがあります。
・将来、白内障の手術をする際はレンズを取り外す必要があります。
・レンズはオーダーメイドのため、発注から届くまでに時間がかかります(1~3ヶ月)。
・Artisanレンズの場合は、両眼同日に手術ができません。
・虹彩の形状によっては、まれにレンズに汚れが付着することがあります。
・安定していない近視の方、 眼内に炎症がある方、前房(角膜~虹彩の間)が浅い方は手術を受けられないことがあります。
・健康保険不適応のため治療費(自費)が高い

後房型フェイキックIOLについて

後房型フェイキックIOLは一般的には、ICL(アイシーエル)と呼ばれます。 ICLはImplantable Collamer Lensの略で、日本語に訳すと「移植可能なコラマーレンズ」となります。 コラマー(Collamer)とは、HEMA(水酸化エチルメタクリレート: hydroxyethyl methacrylate)とコラーゲンを含んだ親水性の柔らかい素材からできています。生体適合性が高く、特別なメンテナンスは必要なく、目の中で長期間にわたって透明な状態を維持し、レンズとしての機能を果たします。
ICL(アイシーエル)は、小さなレンズを黒目(虹彩)の裏側の後房と呼ぶ位置に固定する術式です。 レンズの移植(インプラント)では、インジェクター(挿入器)によりレンズを小さく折りたたんだ状態で眼内に挿入するため、切開創は約3㎜と小さく、目にかかる負担が少なく、日帰り手術が可能です。
ICL(アイシーエル)は開始されてから、20年以上の歴史があり、日本でも国内治験の結果からICL(アイシーエル)の有効性と安全性が認められ、2010年には近視矯正用レンズが、2011年には乱視矯正も行えるトーリックレンズが厚生労働省の承認を受けています
「ICLレンズ」で利用するレンズは、スター・サージカル社製の後房型レンズとなります。唯一、厚生労働省に承認されており、その他のレンズを使う場合は自己責任となってしまいますので、注意が必要です。

後房型フェイキックIOLのメリットとデメリット

基本的なメリットは前房型も後房型も同じです。後房型フェイキックIOLで最も注意しないといけないのは、まれに白内障を誘することがある点です。但し、白内障は手術により治療が可能ですので、強度近視の方には有効な選択肢の一つとなり得ます。
メリット ・強度近視や角膜が薄いためにレーシック適応外の方でも、手術をすることができます。
・角膜を切除せずに近視や乱視を治すための眼内レンズを挿入するので、光学的な損失がありませんし、調節力が温存されます。(=ハードコンタクトレンズと同じようなクリアで質の高い視界が得られます)
・万が一レンズが合わなかった場合や、将来屈折変化が生じた場合、レンズを交換することが可能です。
・レンズを取り外せば、手術前の状態に戻すことができます。
・メーカーにより技術認定を受けた医師だけが手術を認められているため、一定以上の手術品質が担保されます。
デメリット まれに白内障を誘発することがあります。
・将来、白内障の手術をする際はレンズを取り外す必要があります。
・レンズはオーダーメイドのため、発注から届くまでに時間がかかります(2週間~1カ月)。
・手術後しばらく眼圧が高くなることがあります。
・健康保険不適応のため治療費(自費)が高い
術後のデメリットについては、正確に記載しているサイトは少ないですが、松本眼科(http://www.matsumoto-clinic.com/phikic/about.html)に「米国における臨床評価(523眼)」に関する情報が記載されていましたので、引用します。

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白内障は何らかの理由でレンズが水晶体に強く接触した場合に起こり得ます。白内障が軽微な場合には経過観察を行いますが、視力に大きな影響がある場合にはICLを摘出した後、水晶体を摘出する白内障手術を行って、眼内レンズを挿入し視力を補正します。水晶体を摘出した場合には調節機能が失われます。

レンズ摘出・交換は挿入したレンズのサイズや度数が合わない場合等に必要となることがあります。
眼圧上昇、角膜混濁・浮腫は内眼手術にみられる一過性の症状で、多くの場合数日で回復します。
網膜剥離は目の奥の光を感じる部分(網膜)が剥がれる病気であり、治療には手術を必要とします。

その他通常の眼内手術後に伴う以下の合併症が生じる可能性があります。
(前房出血・瞳孔異常・虹彩炎・硝子体炎・眼内炎・黄斑浮腫など)
白内障 2.9% 白内障手術に至ったものは0.4%
レンズ交換・摘出 1.9%
レンズ位置直し 0.8%
眼圧上昇 0.8%
角膜混濁・浮腫 0.4%
網膜剥離 0.2%
---▲ここまで▲---
後房型フェイキックIOL(ICL)で懸念される病気として真っ先に挙げられる白内障ですが、米国における臨床評価(523眼)では0.4%が白内障手術に至ったとあります。1,000人が受けて4人の人が白内障になるこの確率を高いとみるか、低いとみるかでこの術式に対する評価は変わってくると思います。
ただ、白内障は上述した通り治療方法が確立されており、対策が施せるため前房型(角膜内皮細胞減少が発生する可能性がある)より選択肢として有望だと考えています。
後房型フェイキックIOL(ICL)では唯一、厚生労働省に承認されているスター・サージカル社製の後房型レンズで症例数国内トップクラスの実績を誇るのが神戸神奈川アイクリニックです。2013年の国内シェア42%ですから、100人いたら42人が神戸神奈川アイクリニックで手術を受けていることになります。

特に神戸神奈川アイクリニック チーフメディカルディレクター眼科専門医の北澤世志博先生はICL(アイシーエル)/フェイキックIOLの症例数では日本一であり実際に私も北澤先生を指名して手術を受けました。
術後、神戸神奈川アイクリニック以外の病院にも意見を聞きたくて検査に行ったのですが、対応していただいた先生にも、「きれいにできています。技術力のある先生がやったんでしょう。問題はないですね」と太鼓判をいただきました。
強度近視で視力回復に悩む方には後房型のフェイキックIOLをお勧めしたいですし、どこで受ければ良いかと聞かれたら、私と同じ神戸神奈川アイクリニック、特に北澤先生をお勧めしたいと思います。
北澤先生の経歴等は神戸神奈川アイクリニックのドクター紹介で確認することができます。

後房型のフェイキックIOL(ICL)に興味がある場合は、神戸神奈川アイクリニックの無料適応検査を受けられることをお勧めします。希望する方が全員受けられるわけではありませんので、ご注意ください。

参考までに2016年7月1日時点の各クリニックにおけるフェイキックIOLの手術料金を掲載しておきます。
値段を見ると各クリニックが力を入れているサービスが分かります。
神戸神奈川アイクリニックはICLのホールタイプ一択です。少し前まで通常のICLタイプも扱っていたのですが、術後の白内障発症率などを考えると明らかにホールタイプに軍配が上がりますので、ICLタイプの取扱をやめたのだと思います。
新宿近視クリニックはICLホールタイプの比較的度数の低い、少しレーシックと被る部分の値段を安価に設定しており、この部分の開拓を狙っていると感じます。
一方、品川近視クリニックは前房型のアルチフレックスの値段が最安値となっており、この部分に力を入れていると感じます。

私のお勧めの術式はICLのホールタイプ一択です。また、術後は毎年検査に行くべきだと思っていますし、実際私は欠かさず検査に通っています。2年、3年問題なくても10年後に何らかの問題が発生する可能性は否定できませんので、トラブルの兆候が見えたら速やかに対応できるように最低でも年一回は検査を受けるべきだと思います。その検査にかかる費用を加味すると、神戸神奈川アイクリニックがやはり一番の選択肢になります。後は、自分の住んでいる場所に近い病院で受けるとアフターケアが楽ですね。
種類 神戸神奈川アイクリニック 新宿近視クリニック 品川近視クリニック
前房型 アルチザン 40.77万円
乱視矯正は+10.8万円
59.616万円
アルチフレックス 53.56万円
乱視矯正は+10.8万円
49.68万円
後房型 ICL 69.66万円
乱視矯正は別途相談
ICLホールタイプ 68万円
乱視矯正は+10万円
-7.5D未満:49.8万円
-7.5D以上:63.5万円
乱視矯正は+10.8万円
手術を受けられる拠点 東京、大阪、福岡、滋賀、愛知
※滋賀、愛知は提携眼科
東京(新宿) 東京、福岡
備考 1年目以降の定期検診は1回5,400円(税込)(点眼代別途)

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