強度近視の私がフェイキックIOLを受けて視力を回復した体験と視力が低下するメカニズム、対処方法について、説明します。意外と多い強度近視の方向けに情報提供ができればと思います。

■イントラレーシック

手術する人の技量や経験に大きく依存するレーシックに変わり、イントラレーシックが広く行われるようになってきました。 これはフラップの作成をマイクロケラトームの代わりにフェムトセカンドレーザーで行う手術です。このフェムトセカンドレーザーは世界で初めてイントラレース社が開発に成功しました。そのため、フェムトセカンドレーザーのことを、一般にイントラレーザーと呼び、このイントラレーザーを用いたレーシックがイントラレーシックと呼ばれます。
なお、フェムトセカンドレーザーとは、フェムト秒(千兆分の1)間隔で角膜内にプラズマ爆発を起こすことで熱を発生させず空洞を形成するレーザーです。空洞を連続して作ることで、ミシン目のような切断面を形成します。

■なぜ、イントラレーシックは重度近視や角膜の薄い人も治療対象となるのか

イントラレーシックでは、レーシックと比べて重い近視や薄い角膜の人も、治療できるようになりました。 その理由は手術の際に作るフラップの厚さにあります。 マイクロケラトームのフラップの厚さは160μmですが、イントラレーザーのフラップは100μmです。 また、イントラレーザーのフラップはその厚さに誤差がなく、薄くきれいに作ることができます。 フラップを薄く作ることができると、それだけ削ることのできる角膜量が増え、強度の近視も治療できることになります。
では、以下の条件の人がレーシックを受ける場合、イントラレーシックを受ける場合の角膜ベッドについて試算してみましょう。
屈折度数 -8D
角膜の厚さ 550μm(平均的な人の角膜厚)
 -8Dとは裸眼の場合に12.5cmの距離で焦点があう場合の屈折度数です。分類上は強度近視に当たります。エキシマレーザーの切除量は照射の広さ、乱視の有無等よって変わりますが、ここでは仮に100μmの切除量が必要であると仮定します。

①マイクロケラト―ムによるレーシックの場合

  160μmのフラップ作成後、フラップをめくりエキシマレーザーで100μm切除するので、その下の角膜ベッドは550から160と100を引いて290μmになります。 この場合、眼科学会の基準である250ミクロンメートル以上の角膜ベッドを残していますが、クリニックでは独自に角膜ベッドの基準を設けており、300μm以上の角膜ベッドが残っていないと手術できないといった判断になったります。 これは、角膜ベッドが薄いと眼圧の影響を強く受け、術後に近視傾向が出やすく、視力が安定しないことや、角膜が薄くなりすぎると角膜が円錐状に隆起するケラトエクタジアが起こる危険性が高くなること、手術が失敗した場合に備えて、角膜ベッドを少し厚めに残すなどの理由があります。 残すべき角膜ベッドの基準はクリニックにより異なりますが、うまくいかなかった場合のリスクを考慮し、十分な角膜ベッドを確保できる場合にのみ手術をするようにしましょう。


②イントラレーシックの場合

 100μmのフラップ作成後、エキシマレーザーで100μm切除すると、その下の角膜ベッドは550から100と100を引いて350μmになります。この場合、一般的なクリニックでは再手術可能と判断されると思いますので、レーシック手術を受けることができる訳です。

■イントラレーシックの優位性

イントラレーシックが優れているのは、フラップを薄く作れることだけではありません。 イントラレーザーで作ったフラップは安定性に優れており、シワやずれが起こりにくいのです。

①マイクロケラト―ムによるフラップ

マイクロケラト―ムは角膜面に対し、斜めに切り込むためフラップ周囲の断面も斜めになり、フラップは安定性に欠けます。エキシマレーザーの照射中に乾燥したフラップは縮小し、照射後に戻された際に水分を吸収して大きくなります。フラップ下面と照射後の角膜上面の面積を比較すると、平坦化されたフラップ下面のほうが大きいため、そのエッジはわずかに元の位置よりも外側に広がり、微小な段差が生じます。こうした状態でまばたきを繰り返すとエッジが斜めのフラップはシワやずれが起こることがあります。


②イントラレーザーによるフラップ

イントラレーザーによるフラップはエッジが直角に作られ、マンホールのふたを戻すようにしっかりと元の位置に納まるためシワやずれが起こりません。また、最新のイントラレーザーではエッジが直角よりも安定した台形に作ることができます。台形のエッジは周囲の角膜に入り込み、フラップをしっかり固定します。

■マイクロケラトームを使ったレーシックがなくならない訳

このようにイントラレーシックはマイクロケラトームを使ったレーシックに比べ、優れた術式であるもののマイクロケラトームを使ったレーシックがなくなることはありません。 その理由は価格です。 イントラレーシックに使う機器は非常に高く、町のクリニックでは導入が難しいのが現実です。レーシック専門のクリニックでも使う機器が高いのでどうしても通常のレーシックより高い価格を付けざるを得ないのです。 術式の効果、安全性を抜きにして価格のみを優先するのは危険ですが、これが現実なのです。

 (参考)近視度数の考え方

 メガネやコンタクトレンズを外し、文字の書かれた紙を手に持って、測ろうとする眼だけ開けて片眼は閉じながら腕を一杯に伸ばします。そして、紙を除々に近づけるとピントが合う位置があります。ピントが合う位置をF(メートル)とすると[1÷F=D]より近視度数を測ることができます。

例えば、裸眼で50cmの距離でピントが合う場合、1÷0.5=2より近視度数はマイナス2Dとなります。裸眼で20cmの距離でピントが合う場合、1÷0.2=5より近視度数はマイナス5Dとなります。
近視はマイナス4D未満を軽度、6D未満を中度、10D未満を強度、それ以上を最強度近視と分類します。 
名称 屈折度数
軽度近視 -3D未満
中等度近視 -3D以上~-6D未満
強度近視 -6D以上~-10D未満
最強度近視 -10D以上~

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